投稿日:2024.12.9
受け口の原因に上あごは関係しているの?
受け口(反対咬合/下顎前突)は、下あごが出ていたり、下の歯が上の歯より出ていたりす
るため、下あごに注目されがちですが、実は上あごが原因で受け口になっているケースがあ
るのです。
今回は上あごが関係している受け口について原因と矯正治療のタイミングについて説明して
いきたいと思います。
受け口の原因が知りたい方やお子さんの受け口を予防したい方はぜひ参考にしてください。
目次
受け口(反対咬合/下顎前突)とは
受け口は反対咬合または下顎前突とも呼ばれ、上下の噛み合わせが反対になっている歯並び
のことを指します。
受け口のタイプには「歯槽性下顎前突」と「骨格性下顎前突」の2種類があります。
「歯槽性下顎前突」は、下の歯が前に突き出ていて上の歯よりも前で噛んでいる、上の歯が
内側に傾いていて下の歯が前に出ているなどの歯が原因の受け口のことです。
また「骨格性下顎前突」は、歯を支えているあごに問題がある場合で、下あごが過度に成長
していたり、上あごが成長不足だったりする受け口をいいます。
どちらの受け口なのかは精密検査をした上で歯科医師の判断になります。
受け口になる原因3つ
受け口になる原因として以下の3つが考えられます。
遺伝的な原因
遺伝的な原因の受け口は以下のとおりです。
● 親からの遺伝で上あごが小さくなってしまった
● 親からの遺伝で下あごが大きくなった
● 親からの遺伝で下の前歯が前に出てしまった
親のあごや子どもの骨格、歯並びが受け口で似ているなと感じる場合は遺伝的な原因での受
け口の可能性があるでしょう。
骨格や歯が原因
あごの発育不全や上下のあごの成長の差、または歯の生える向きで受け口になることもあり
ます。
● 下あごの成長度合いが大きく上あごの成長が少なかった
● やわらかいものばかり食べ、噛むことが少なくあごの成長が不十分だった
● 上の前歯が内側に向いて生えている、下の前歯が外側に向いて生えてしまった
あごの大きさが遺伝的な原因でない場合は硬いものを噛むなどで顎の成長を促せる可能性が
あります。
癖などの後天的な原因
癖や生活習慣など後天的な原因でも受け口になることがあります。
● 指しゃぶりや下くちびるを噛む癖があり下あごがでてしまった
● 舌の位置が低いことで下あごが成長し上あごが成長しなかった
● 口呼吸により上あごが機能せず上あごが成長しなかった
● 頬杖をつく、下あごをわざと出すなどの習慣が癖づいてしまった
上記の原因の場合は、普段からの生活習慣を見直すことで受け口の悪化や改善が見込めるで
しょう。
それぞれの原因が作用しているケースもありますので1つでも当てはまる方やご自身のお子
さんに見受けられる方は改善するようにしましょう。
受け口の原因に上あごが関係しているケース2選
さらに上記の原因に加え受け口のタイプ別に上あごが原因となっているパターンがあります
。
詳しく説明していきます。
上あごの前歯が下あごの前歯より後ろに生えている
歯槽性下顎前突で上あごの前歯が下あごの前歯より後ろに生えているケースです。
本来であれば上の前歯は下の歯より前に出て下の歯を覆っていないといけません。
上の歯が内側に生えてしまったり、乳歯から永久歯に変わる段階で乳歯が残っていて永久歯
が避けて生えてきたりするのが原因で上の歯の向きが内側に傾いてしまい受け口になります
。
生え変わりの段階で生えてくる歯の向きを確認することで受け口になるかどうかを判断する
ことができるでしょう。
歯の向きが原因の受け口は矯正治療で歯並びを改善すれば治るケースが多いと考えられます
。
上あごの成長が下あごよりも不十分である
骨格性下顎前突で上あごの成長が下あごよりも不十分な受け口です。
舌の位置や口呼吸などで上あごの成長が不十分であったり、遺伝的な要因で上あごが下あご
よりも小さいと受け口になってしまいます。
子供のときであれば上あごの成長を促したり、下あごの成長を抑える装置の装着が可能な場
合がありますが、大人になると難しくなります。
遺伝的なあごの大きさに差がある症例は手術が必要なケースもあるので、精密検査と歯科医
師の診断を受けるといいでしょう。
上あごの成長は子どもの成長期と連動している
受け口は大人になってから治療するよりも、上あごの成長に合わせて治療するとより効果的
に改善することが可能でしょう。
上あごの成長期は「6~8歳」下あごは「10~13歳」といわれています。
あごの成長と共に乳歯から永久歯に生え変わるので受け口が改善されるケースもありますが
、成長期に合わせてあごをしっかり使うようにしたり、受け口になるような癖をやめたりす
るよう心がけることが大事でしょう。
自身での癖などの改善だけでは難しい受け口は小児矯正で装置を使用し改善することも可能
です。
上あごの成長に合わせて使用する装置、適応年齢が変わるので、お子様の受け口が気になっ
た際に一度小児矯正専門の歯科医院に相談することをおすすめします。
受け口は上あごの成長に合わせて矯正治療がおこなえる
上記でお伝えしたように受け口は上あごの成長に合わせて矯正治療をおこなうことが可能で
す。
ここでは「子どもの受け口の矯正治療」「大人の受け口の矯正治療」について説明します。
子こどもの受け口の矯正治療
子どもの受け口の矯正治療は主にあごの成長に合わせて以下の装置を使用します。
● ムーシールドなどのマウスピース矯正
● 床矯正
● 上顎前方牽引装置
● リンガルアーチ
● チンキャップ
3歳になった時点で受け口であれば自然に治る可能性は低くなります。
もっとも、子どもの受け口の治療は乳歯が生えそろった段階ではなく、基本的には混合歯列
期(永久歯と乳歯が入り混じっている時期)に装置を使うと顎の成長に合わせやすいでしょ
う。
上記で紹介した取り外し可能な装置や、上あごに装着する装置などを使い、上あごの成長を
促したり、下あごの成長を抑制したりして上下のあごのバランスを整えます。
子どもの受け口の矯正治療は永久歯が生えそろうまでおこなうことが多いためお子さんの協
力が不可欠です。
一度お子さんと小児矯正専門の歯科医院で矯正治療の診断を受け納得してスタートすること
が大事になります。
大人の受け口の矯正治療
大人の受け口の矯正治療は以下のとおりです。
● ワイヤー矯正
● マウスピース矯正
● 裏側矯正
● 外科的手術を含む矯正治療
成人になるとあごの成長を促す装置を使用することが難しくなります。
なぜなら20歳を過ぎるとあごの成長が完全にストップしてしまうので装置の効果が見込め
ないためです。
大人の場合、受け口の程度によっては抜歯や外科的手術が必要なケースもありますので精密
検査を受ける必要があります。
当院は受け口の矯正治療も積極的に行っておりますので遠慮なくご相談くださいね。
上あごが原因の受け口にならないようにするには
13歳を過ぎるとあごの成長を促す装置であごを広げることが難しくなります。
お子さんの受け口に気付いた際は早めの歯科医院受診をおすすめします。
成長期であれば上あごの成長に合わせて装置の選択が可能になるからです。
それと同時にあごの成長を疎外してしまうような悪習癖などがあるお子さんは改善する必要
があるでしょう。
受け口を放置して大人になった場合は矯正治療や外科的手術などを選択しなければなりませ
ん。
負担が大きくなりますが受け口を改善できないわけではありません。
また成長期に少しでも受け口を改善しておくと成人期の矯正の負担が楽になるでしょう。
上あごが原因で起こる受け口にならないためにも早い段階であごの成長をコントロールする
ことが大事です。
まとめ
受け口の原因は下あごが原因と思われがちですが、上あごの成長や上あごの歯の向きも大き
く関わっています。
子どもの成長期であれば上あごの成長を促し上下のあごのバランスをコントロールすること
が可能です。
大人になってからも受け口の矯正治療は可能で、歯並びが原因の場合は矯正治療を、骨格が
問題の場合は外科的手術を選択することもあります。
精密検査をおこない判断いたしますので気になる方は一度当院にご相談くださいね。
また、お子さんの受け口が気になる方は小児矯正専門の歯科医院の受診を検討されることを
おすすめいたします。