投稿日:2025.4.28
扁桃腺の問題で受け口になるって本当なの?
みなさん、こんにちは。
仙台キュア矯正歯科です。
扁桃腺は口呼吸との繋がりが大きく、さらにそこから歯並びや噛み合わせ、身体のバラン
スにまで派生して影響することがあります。
扁桃腺はリンパ組織のひとつで、実は4つあります。
・口蓋扁桃
・咽頭扁桃(アデノイド)
・耳管扁桃
・舌根扁桃
が咽頭部に存在しますが、実際に問題になるのは「口蓋扁桃」と「アデノイド」の2つです
。
これらは10歳ごろまでは大きく、それ以降は免疫が付き始めるので徐々に委縮していきま
す。
しかし個人差があり、十分に縮小しなかった場合や通常より肥大すると、鼻が詰まった状
態になるので口呼吸になりやすくなります。
口呼吸が続くと歯並びや下顎の成長に影響するので、受け口になる可能性が高くなります
。
受け口は「遺伝」と思われている方も多いと思いますが、無意識に行っている習慣が受け
口を促しているかもしれません。
扁桃腺の問題は、顎の発育や顔貌に大きな影響を与えます。
それを理解しないとお口の健康どころか、全身の健康を守ることができません。
扁桃腺がどのような影響を与えるのか詳しく説明していきます。
目次
扁桃腺について
「扁桃腺」とは聞いたことがあると思いますが、どこに位置しているのか、どのような役
割があるのか知らない方も多いのではないでしょうか。
扁桃腺は鼻腔の奥から喉に存在しており、上からアデノイド・耳管扁桃・口蓋扁桃・舌根
扁桃という順番で位置しています。
扁桃腺は口腔内に侵入してきた細菌やウイルスから身体を守る免疫機能があります。
しかしストレスや寝不足・疲労などで免疫力が低下した時に、細菌やウイルスに感染して
しまうと「急性扁桃炎」を発症します。
急性扁桃炎の原因菌の中でも溶連菌には注意が必要で、大人の場合も免疫力が低下してい
ると感染するリスクはありますが、10歳ごろまでの幼児や学童児の感染が多いです。
扁桃腺が炎症すると喉の痛み・発熱・食欲不振や偏食などの症状が現れます。
扁桃腺が引き起こす問題
扁桃腺の中でも特に口蓋扁桃とアデノイドが問題になりやすく、さまざまな弊害を引き起
こします。
◎口蓋扁桃
口蓋扁桃は3歳ごろから大きくなり、7歳ごろがピークで10歳ごろには小さくなっていき
ます。
扁桃肥大が起こると気道が狭くなるので、口呼吸やいびき・睡眠時無呼吸症候群などの呼
吸障害を引き起こす原因になります。
その結果睡眠に影響が出るので、睡眠時間はとれているが寝起きが悪い、日中も眠たいな
どの睡眠障害も考えられます。
◎アデノイド
アデノイドは2歳ごろから大きくなり、6歳ごろがピークで8~10歳ごろには小さくなりま
す。
アデノイド肥大は急性中耳炎の原因になり、繰り返すことで滲出性中耳炎や副鼻腔炎、鼻
閉を発症することもあります。
また、鼻づまりや扁桃肥大と同様に呼吸障害や睡眠障害もアデノイド肥大の症状です。
鼻炎や鼻づまりによる一時期だけの口呼吸なら問題ないですが、口呼吸が習慣付いてしま
うと歯並びや顎の発達にも影響を与えます。
代表的なのが「アデノイド顔貌」という口元が前に出て下顎が後退し、丸みを帯びた特徴
的な顔に変化します。
お子様が風邪を引くと鼻づまりや口呼吸、いびきをかくことはよくありますが、風邪が治
ってきてもこれらの症状が改善されない場合は、扁桃肥大やアデノイド肥大が懸念されま
す。
その他にも扁桃腺に問題があると、以下のような症状が現れやすいです。
・頭痛
・倦怠感
・集中力の低下
・多動
・学力低下
・歯並びが乱れる
・顎の成長不足
などがあげられます。
扁桃腺と受け口の関連性
扁桃腺の問題により受け口に繋がるのはこのようなことが関連しています。
まずは扁桃腺が肥大化すると鼻づまりにより口呼吸になってしまうことです。
歯並びや顎の成長に重要なのはお口周りの筋肉や舌の筋肉ですが、日常的に口呼吸になる
とお口が開いている状態になり、唇や頬の筋肉が衰えてきます。
お口周りの筋肉は、ご飯を噛む時に使う咬筋や側頭筋などの「咀嚼筋」や、表情を作る表
情筋を含む「口輪筋」があります。
これらの口腔周囲筋が外側から歯に圧力をかけることで、正常な歯列を保つ働きがありま
す。
そのため常に口が開いていると外側から加わる圧力が軽減し、歯並びが乱れる原因になる
のです。
さらに口呼吸になると舌の位置にも問題が出てきます。
本来舌の位置は上顎にありますが、口呼吸になると舌が下顎に下がってしまう「低位舌」
になります。
舌が上顎にあると唾液やご飯を飲み込む際に、上顎を押し上げるので、上顎の成長が促さ
れます。
しかし低位舌の場合は下顎前歯部を押し付けるので、下顎の成長を促してしまい、受け口
になる可能性が高くなるのです。
長期的な口呼吸は顎の正常な成長を阻害され、上顎の劣成長、下顎の過成長に繋がります
。
受け口に限らず出っ歯や切端咬合などの不正咬合の原因にもなるので、扁桃腺の肥大化と
口呼吸の習慣には適切な治療が必要です。
予防と治療方法
口呼吸はすぐに確認することはできますが、扁桃腺の問題による口呼吸の場合は、根本的
に治療しないと改善することはできません。
まず扁桃腺の肥大が口呼吸を促していることに気付けるかどうかが、受け口を予防するポ
イントになるでしょう。
1)定期的に受診
扁桃腺に問題があるか早期に発見する方法は、小児科や耳鼻咽喉科に定期的に受診するこ
とです。
ご自宅で扁桃腺の大きさを確認するよりも専門の医師に診てもらうことで、早期発見・早
期治療に繋がります。
症状が著しい場合はお子様でも扁桃腺手術を受ける場合があります。
基準は①年に3~4回繰り返す扁桃炎②扁桃肥大による無呼吸症候群がある場合です。
しかし扁桃腺をとると免疫機能が低下するので、風邪にかかるリスクが3倍も増えること
がわかっています。
そのため習慣性があり治りにくい扁桃炎であるか、手術の必要性があるかの見極めを慎重
に行わなければいけません。
そして口呼吸を行っている場合は、適切な治療を終えて鼻づまりや呼吸の問題が改善して
から、鼻で呼吸する練習を行うことが重要です。
2)筋機能療法(MFT)
歯並びや噛み合わせの乱れは遺伝だけではなく、幼少期から続く生活習慣や癖が影響を及
ぼすことが多いです。
そのため原因となる習癖を改善するとともに、口腔周囲筋を鍛えることは顎の成長期にと
って、とても重要な材料になります。
筋機能療法とは口腔周囲筋の機能を正常に働くようにするトレーニングする方法です。
呼吸の仕方や舌の位置、発音・咀嚼・嚥下の正しい方法を指導、トレーニングすることで
、口腔周囲筋のバランスを整えます。
顎の成長期に行えば矯正装置を付けずして、筋機能訓練療法のみで歯並びが改善するケー
スもあります。
口腔周囲筋のバランスは受け口の予防や全身の健康にも繋がるので、トレーニングで健康
を手に入れましょう。
3)歯列矯正
扁桃腺が原因で受け口になった場合は、歯列矯正が有効です。
歯列矯正では歯並びを改善し、顎の位置も調整することができます。
受け口の場合は噛み合わせに異常を生じているので、しっかり噛めずに飲み込んでしまう
ため消化不良を起こしやすく、顎関節症や頭痛・肩こりなどのリスクが高いです。
これらの症状を改善するには、歯列矯正で根本的に治療する必要があります。
受け口は口が閉じにくいので口呼吸になりやすいです。
口呼吸は口腔内が乾燥しやすく細菌が繁殖しやすい環境になるので、虫歯や歯周病の原因
になります。
歯が喪失するリスクが高くなるので、健康のためにも早めに改善することが望ましいです
。
受け口は見た目以上に機能面での問題が深刻なので、放置せずに治療を行いましょう。
扁桃腺の問題が顎の発育に与える影響を理解していると、早期発見に繋がり、さらに適切
な治療を受けることができるので、顎の発育に及ぼす影響が最小限に抑えられます。
大人になってから気付いた場合でも、遅くはありません。
気になることや歯列矯正を検討している方は、お気軽にお問合せください。