投稿日:2025.12.22
噛み合わせが深い(過蓋咬合)の原因と治し方
「噛み合わせが深い」と言われたことはありませんか?過蓋咬合(かがいこうごう)は、上下
の前歯が深く噛み合いすぎる状態のことを指します。放置しておくと、虫歯や歯周病のリスク
が高まるだけでなく、顎関節症や早期の歯の喪失といった深刻な問題に繋がる可能性があるの
です。しかし、適切な治療を受ければ、これらのリスクを軽減し、健康で美しい歯並びを手に
入れることができます。本記事では、過蓋咬合の原因や治療法について詳しく解説していきま
す。
過蓋咬合とは?

過蓋咬合(かがいこうごう)は簡単に言うと、上の前歯が下の前歯を覆っている状態です。上
の前歯が下の前歯を隠しすぎて、笑ったときに下の前歯がほとんど見えないことがあります。
このような状態では、食事時の咀嚼(そしゃく)や発音に影響が出ることがあり、放っておく
と口の中の健康にさまざまな問題を引き起こす可能性があるのです。
過蓋咬合は、遺伝的な要因や成長過程での癖、骨格の成長など、さまざまな原因によって引き
起こされます。歯並びや顎の骨の位置が影響するため、治療には専門的な診断が必要です。過
蓋咬合は矯正治療によって改善できることが多く、早期に適切な治療を受けることで、より良
い結果を得ることができます。
過蓋咬合の原因
過蓋咬合の原因は多岐にわたりますが、主に以下の要因が考えられます。
1. 骨格的要因
○ 上顎が大きい、または下顎が小さい
○ 上顎が前方にある、または下顎が後方にある
2. 歯の位置や形態
○ 上の前歯が前方に傾いている
○ 下の前歯が後方に傾いている
○ 前歯が伸びすぎている
○ 奥歯の高さが不足している
3. 習慣や癖
○ 舌で歯を押す癖がある
○ 口呼吸している
○ 唇を噛む癖がある
○ 頬杖をつく習慣がある
4. その他の要因
○ 遺伝的要因
○ 乳歯の早期喪失
○ 虫歯などによる奥歯の喪失
これらの要因が複合的に作用することで、過蓋咬合が発生します。特に、子供の頃からの習慣
や癖は骨格の発達や歯の位置にも大きな影響を与えるのです。
過蓋咬合の治し方

過蓋咬合の治療法は、年齢や症状の程度に応じて異なります。ここでは、主に成人の方への治
療法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
永久歯列完成後の治療
大人になってからの過蓋咬合の治療には、矯正治療が主に行われます。
● 歯科矯正治療
ブラケットやワイヤーを使用して、歯を移動させる方法です。過蓋咬合の原因である歯
の位置の問題を解決するため、矯正装置を使って正しい位置に歯を動かします。
● 抜歯を伴う矯正治療
歯の数が多い場合や、空間を確保する必要がある場合には、抜歯を行い、その後に矯正
治療を行います。これにより、噛み合わせのバランスを整えます。
重度の過蓋咬合の場合

重度の過蓋咬合は、矯正治療だけでは改善が難しいこともあります。その場合には、外科的な
治療が必要です。
● 外科的矯正治療
顎の骨を手術で移動させ、噛み合わせを改善します。この方法は、骨格に問題がある場
合に効果的で、噛み合わせを根本から改善することが可能です。
補助的治療
過蓋咬合の治療には、補助的な治療も行われます。
● 悪習癖の改善
舌癖や口呼吸などの悪い習慣を改善するための指導が行われます。これにより、再発を
防ぐことができるのです。
過蓋咬合のデメリット

過蓋咬合は、見た目だけでなく、さまざまな健康リスクを伴います。以下に、過蓋咬合がもた
らす主なデメリットをまとめました。
1. 歯へのダメージ
● 強い咬合力が歯の表面を削り、知覚過敏を引き起こすことがあります。また、歯が欠け
たり割れたりするリスクが高まり、詰め物や被せ物が破損しやすくなる可能性もあるの
です。
2. 歯ぐきや顎関節への悪影響
● 過度な力が歯ぐきにかかると、歯周病のリスクも増し、顎関節症も発症しやすくなりま
す。これにより、口腔全体の健康が損なわれる恐れがあるのです。
3. 噛み合わせの悪化
● 上の前歯が前方に傾いて出っ歯になる、奥歯の噛み合わせが深くなって症状が悪化する
など、噛み合わせ全体が悪化する可能性があります。
4. 奥歯のすり減り
● 過度な噛む力によって、奥歯が早くすり減り、長期的に見て歯の寿命が短くなるリスク
があります。
6. 虫歯のリスク増加
● 噛み合わせが悪いと食べ物が詰まりやすくなり、虫歯のリスクが高まります。
7. 審美的な問題
● 下の前歯が見えにくくなることで、笑顔の印象に影響を与えることがあります。これは
、審美的な観点からも問題となり得ます。
8. 肩こりや頭痛
● 噛み合わせのずれが原因で、肩こりや頭痛を引き起こすことがあります。これは、日常生活の質を低下させる要因となります。
過蓋咬合は、口腔内の健康や生活の質に大きな影響を与えるため、早期の診断と適切な治療が
非常に重要です。
過蓋咬合の予防と早期治療の重要性

過蓋咬合は、早期に発見し治療を行うことで、より効果的な改善が期待できます。
過蓋咬合を放置すると、
● 虫歯や歯周病のリスク増加
● 顎関節症
● 早期の歯の喪失
などの問題が生じる可能性があります。
気になる症状がある場合は、早めに矯正歯科専門医に相談することが重要です。
過蓋咬合の治療には個人差がありますが、通常1〜3年程度の治療期間がかかります。早期に適
切な診断と治療を受けることで、健康的な歯並びと噛み合わせを早く手に入れることができる
のです。
過蓋咬合の治療後のケアと注意点

過蓋咬合の治療が無事に完了した後も、治療効果を維持するためのケアと注意が必要です。治
療後のケアを怠ると、せっかく改善された噛み合わせが元に戻ってしまうリスクがあります。
ここでは、過蓋咬合の治療後に重要なケアと注意点について詳しく説明します。
1. リテーナー(保定装置)の使用
矯正治療後、歯が新しい位置に安定するまでの期間は非常に重要です。治療直後の歯は、骨や
周囲の組織がまだ完全に固まっていないため、元の位置に戻ろうとする力が働きます。このた
め、リテーナーと呼ばれる保定装置を使用して、歯の位置を安定させる必要があるのです。
リテーナーの種類
● 固定式リテーナー
歯の裏側にワイヤーを接着するタイプで、患者自身で取り外しができません。このため
、歯を確実に固定するための効果が高いです。しかし、歯磨きが難しくなる場合がある
ため、しっかりとした歯磨きとデンタルフロスの使用が求められます。
● 取り外し式リテーナー
食事や歯磨きの際に取り外しができるタイプになります。ライフスタイルに合わせて使
いやすいのが特徴です。しかし、装着時間を守らないと歯が元の位置に戻ってしまう可
能性があるため、自己管理が重要となってきます。
リテーナーの装着時間や管理方法については、矯正歯科医の指示に従いましょう。また、定期
的なチェックアップを受けることが大切です。
2. 長期的な視点でのケア
過蓋咬合の治療は一度完了すれば終わりというわけではなく、長期的な視点でのケアが求めら
れます。歯並びや噛み合わせの維持には、日常的なケアの積み重ねが非常に重要です。
過蓋咬合の治療後は、
● リテーナーの使用
● 定期的な歯科検診
● 徹底した口腔ケア
● 生活習慣の見直し
など、多くの注意点があります。
治療の効果を長く維持し、美しい歯並びを保つためには、治療後のケアをしっかりと行うこと
が必要です。治療後の数年は特に注意が必要であり、歯科医と相談しながら適切なケアを続け
ることが大切になってきます。矯正歯科医と連携し、最適なケアを続けることで健康な口腔環
境を維持しましょう。
まとめ

過蓋咬合は、上下の前歯が深く噛み合いすぎる状態で、見た目や口の中の機能に影響を及ぼし
ます。放置すると、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、顎関節症や発音の問題、早期
の歯の喪失など、さまざまな問題に繋がる可能性があるのです。
しかし、原因を理解し適切な治療を受けることで、過蓋咬合は改善できます。過蓋咬合の疑い
がある場合や症状が気になる場合は、早めに矯正歯科専門医に相談することをお勧めします。
健康で美しい歯並びを保つために、早期発見と適切な治療を心がけましょう。




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