投稿日:2024.8.5
マウスピース矯正中に煙草を吸ってもいい?
みなさん、こんにちは。
仙台キュア矯正歯科です。
喫煙習慣がある方も歯列矯正を行えますが、マウスピース矯正の場合はどうでしょう。
マウスピース矯正は1日22時間以上装着する必要があるので、その上で喫煙することは注
意すべき点やリスクが伴います。
まず喫煙習慣がある方はリスクを十分に理解して矯正治療を開始することをおすすめしま
す。
目次
マウスピース矯正中に煙草は吸ってもいい?
マウスピース矯正中は禁煙しないといけないわけではないので、喫煙しても大丈夫です。
しかしマウスピースを外さずに喫煙すると、煙草に含まれるニコチンやタールによってマ
ウスピースが変色してしまいます。
紙煙草ではなく加熱タバコのIQOSやgloなども同じで、ニコチンやタールが含まれていま
す。
さらに加熱式タバコは蒸気の熱によってマウスピースが変形する可能性があり、変形して
しまうと計画通りに歯が動かないことも考えられます。
そのため喫煙する際はマウスピースを外してから吸うようにしましょう。
注意すべきことは、喫煙の度にマウスピースを外して、十分な装着時間を確保できなくな
ってしまうことです。
装着時間を守らないと治療が計画通りに進行しないので、長期化する可能性もあります。
ですので、喫煙することはマウスピースを外して吸うことができますが、矯正中の喫煙は
デメリットがたくさんあるので、喫煙頻度を少なくするか、喫煙することが望ましいです
。
矯正中の喫煙のデメリット
上記で述べた以外にも喫煙には様々な問題が起こりやすくなります。
1.歯が動きにくくなる
歯列矯正で機械的な力で歯を動かすためには、歯や歯を支えている骨の代謝が重要です。
しかし煙草に含まれているニコチンには、血流や代謝が悪くなる血管収縮作用があるため
、喫煙すると歯が動きにくくなり移動も遅くなります。
その結果、治療期間が長引く可能性もあります。
2.虫歯や歯周病のリスクが高くなる
煙草に含まれる一酸化炭素は血液の酸素を運ぶ機能を低下させ、同時にニコチンの血管収
縮作用によって、歯茎に血液と酸素が循環が悪くなり歯茎が貧血状態になってしまいます
。
そうすると歯茎が腫れたり出血しにくくなるので、歯周病の初期症状に気付きにくく悪化
させる原因になります。
さらに、血流が悪くなることにより免疫力の低下し歯周病原菌が増殖するため、知らない
間に進行することが歯周病の怖いところです。
そしてニコチンには唾液の分泌量を抑制する作用があり、タールは歯垢を付着させやすい
ので、唾液の量が少なくなると口腔内が乾燥しやすくなるので細菌が繁殖する環境になり
ます。
歯周病原菌だけでなく虫歯菌も発生しやすくなり、矯正治療を中断して虫歯治療を行った
りする場合には、矯正期間が長くなってしまいます。
そして何より矯正治療を行っても、虫歯によって治療した歯が多かったり歯周病に罹患し
ていると、せっかく綺麗な歯並びを手に入れたのに勿体ないです。
歯列矯正をきっかけに、禁煙することが理想的です。
3.口臭の原因になる
ニコチンによって唾液の分泌量が減り、口腔内が乾燥するので口臭が発生しやすくなりま
す。
さらにマウスピース使用時は全体的に唾液が行き渡らないため、口臭の悪化に繋がります
。
4.歯やマウスピースの着色、歯茎の黒ずみの原因
煙草に含まれているタール(ヤニ)には、歯ブラシでは落ちにくい着色汚れが歯の表面に付着
します。
放置するとだんだん濃くなっていき、コーヒーや紅茶など色素沈着しやすい飲食物の色素
を吸着し、より歯の黄ばみを強くさせます。
歯に着色汚れがある状態でマウスピースを装着すると、汚れがマウスピースにも移って黄
ばんでしまいます。
そして長期間喫煙しているとニコチンの血管収縮作用と一酸化炭素の酸素運搬機能の低下
により、ピンク色の健康的な歯茎が黒ずんで不健康な歯茎になってきます。
また煙草を吸うとメラニン色素が増加することも歯茎が黒っぽく変色する原因です。
着色や黄ばみを落とすために歯磨き粉をつけて力強く磨いても落ちず、反対に傷が付いて
汚れや着色が付きやすくなるので絶対にやめてください。
歯科医院にて専用の機械で除去できるので、ご相談ください。
5.口腔ガンのリスクが高くなる
煙草には発ガン性物質が含まれているので、非喫煙者と比較すると口腔ガン・咽頭ガンの
リスクは7倍にもなります。
口腔ガンの手術後は、食べる、飲む、話すといった日常生活に支障をきたし、また審美障
害も残してしまいます。
舌ガンや歯肉ガンは口内炎と間違えることもあり、発見が遅れてしまう可能性もあるので
喫煙には十分な注意が必要です。
加熱式タバコと電子タバコの比較
紙タバコや加熱式タバコが矯正治療や口腔内に対して悪影響があることは、お分かりいた
だけましたか?
煙草には上記の2種類以外に「電子タバコ」というもの存在していますが、影響はどうな
のか、加熱式タバコと比較してみました。
□電子タバコ
電子タバコはたばこ葉を使用せず、液体(リキッド)を電気加熱して気化させて、発生する
蒸気の香りや味を楽しむ嗜好品です。
海外のリキッドにはニコチンは含んでいる場合もありますが、日本の法律ではニコチンを
含む電子タバコは販売が禁止されています。
日本製の電子タバコに関しては、体に影響のあるニコチンやタールが含まれていないこと
はメリットです。
血管収縮が起こりにくく、酸欠状態にはなりにくいのでマウスピース矯正への影響は少な
いでしょう。
矯正前や矯正中の方で禁煙は難しいという場合は、電子タバコに移行するのも1つかと思
います。
しかしニコチンは含まれていませんが、蒸気の中には発ガン性物質が多く含まれている物
もあるので、決して体に良い物ではなく注意が必要です。
□加熱式タバコ
加熱式タバコはIQOS(アイコス)が代表的で、タバコ葉を加熱してニコチンなどが含まれる
蒸気が発生します。
煙や灰が出ないことかは紙タバコより健康被害が少ないと思われがちですが実際は、紙タ
バコと同様に化学物質は5300種類以上、発ガン性物質は70種類以上含まれています。
加熱式タバコを吸うことによって体内に取り込まれるニコチンの量は、紙巻タバコと同等
かそれ以上、タールは70%程度と言われています。
さらにIQOSは紙タバコよりも使用頻度が増えることが報告されているため、健康被害は
低減どころか増大する恐れがあります。
歯に着色が付着していたり歯茎が黒ずんでいると、綺麗な歯並びを手に入れても清潔感が
なく不健康な印象になってしまうでしょう。
しかし着色は歯ブラシでは落ちず、着色取りと謳っている市販の商品では歯の表面を傷つ
きやすく汚れが付きやすくなるので、歯科医院にて専用の機械で綺麗に除去してもらう方
が効率が良いです。
そのため非喫煙者と比較すると歯科医院にクリーニングに行く回数が増えるので、医療費
も増えます。
このようなデメリットや身体やお口の健康へのリスクを考えると禁煙が理想的です。
まとめ
マウスピース矯正への影響を減らす場合は、①禁煙②電子タバコ③加熱式タバコ④紙タバ
コの順番になりますが、IQOSと紙タバコはタバコ葉を使用しているため、ニコチンやタ
ールが含まれており、マウスピースに着色が付いたり歯や歯茎に及ぶ悪影響は避けられま
せん。
喫煙習慣があると禁煙することは難しいと思いますが、段階を踏んでニコチンなどの摂取
量を減らしていくことも禁煙の成功に繋がるかもしれません。
マウスピース矯正中の疑問や不安なことがありましたら、当院までお気軽にご相談くださ
い。