投稿日:2024.11.4
受け口でも見えない矯正はできるの?
下の歯や下あごが上の歯、上あごより出ている歯並びを受け口といいます。
受け口のことをしゃくれなどと聞く人も多いのではないでしょうか。
矯正の中でも難しいと言われる受け口の治療ですが、受け口の方でも見えない矯正で改善す
ることは可能です。
今回は受け口の方ができる見えない矯正治療について費用や期間も踏まえて解説していきま
す。
受け口で悩んでいる方、矯正はしたいけど装置が見えるのが嫌だと思っている方はぜひ参考
にしてみてくださいね。
目次
受け口(反対咬合/下顎前突)とは
歯科では受け口を反対咬合や下顎前突と呼んでいます。
出っ歯に続き多い不正咬合の1つです。
本来、上の歯が下の歯を数ミリ覆っている状態が正常な噛み合わせと言われますが、受け口
は下の歯が数ミリから数センチ上の歯より出ている状態のことをいい、横顔は下あごがしゃ
くれた状態になっていることが多いのが特徴です。
下の歯が前に突出していたり上の歯が内側に傾いてしまったりしている受け口は歯が原因の
「歯槽性下顎前突」と呼ばれます。
また、下あごが過度に成長していたり、上あごの成長が不十分だったりと顎の成長が原因の
受け口を「骨格性下顎前突」といいます。
受け口は見た目はもちろんですが、発音に支障が出たり、顎関節に負担がかかってしまった
りするなど、生活にも支障が出てしまいます。
さらに受け口の矯正治療は歯が原因か骨格が原因なのかで治療の内容が変わり「骨格性下顎
前突」は矯正治療の前に外科的手術を選択する可能性がありますので、しっかりと歯科医師
に相談し診断してもらう必要があるでしょう。
受け口になる5つの原因
では受け口になる原因は何なのでしょうか。
受け口になる原因は一人ひとり異なり、原因によって治療法が変わる可能性があります。
ここでは受け口になりやすい5つの原因について説明していきます。
遺伝的な要
体つきや骨格が親子で似るように、顔つきや顔の骨格も親に似る傾向があります。
したがって親が受け口だった場合、子供も受け口の遺伝子を受け継ぐ可能性があるのです。
重度の遺伝的な要因の受け口は外科的手術での矯正治療が選択される可能性が高くなるでし
ょう。
最初に生えた前歯の位置の問題
乳歯から永久歯に生え変わる際に生えてくる前歯の位置で受け口になることがあります。
乳歯の時点で受け口だった場合、そのままの位置で永久歯に生え変わるので受け口になる可
能性は高くなるといえるでしょう。
また、乳歯が虫歯などで中々抜けず、永久歯が生えてきた段階でも残っているケースは永久
歯が乳歯を避けようとするため内側や外側の位置で生えてきてしまい、受け口となる可能性
があります。
乳歯が受け口のとき「ムーンシールド」を装着することで受け口を改善することが可能であ
ったり、永久歯に生え変わる段階で受け口であれば装置などで顎を広げたりすることが可能
な時期もあったりするのでお子様の歯並びが受け口かもと気になる方は定期的に生え変わり
と歯の位置を確認する必要があるでしょう。
子供のころの癖
子供のころに遊んで、下あごを前にするなどの癖がついてしまい受け口になってしまう人が
います。
子供がわざと下あごを前にズラしたりしているときは、正しい噛み合わせで噛むよう促す必
要があるでしょう。
また、口呼吸も口周りの筋肉が使えておらず舌が下あごの位置にあり、下あごを押し広げ受
け口になる可能性があります。
癖は習慣化すると中々治すことが難しく、あごの成長が止まってしまうと、矯正などの治療
が必要になってしまいます。改善できるときに改善するよう促す必要があるといえます。
上あごの未発達や下あごの過剰成長
上あごが十分に発達しなかったり、下あごが発達しすぎたときも受け口になる傾向にありま
す。
子供のあごが成長段階であれば、装置を使用しあごの成長を促すなど改善できることもあり
ますので、歯科医師に相談するといいでしょう。
舌が短い
舌が短いと、舌が本来の位置にあるのが難しく受け口になる可能性があります。
「舌たらず」とも呼ばれ舌小帯が短くなっている状態です。
舌は唾液を飲み込む際に上あごの前歯の裏にあるポチっとした部位に位置します。
ただし、舌が短いと上あごの部分に位置することが難しく、下あごに留まることにより、舌
で上あごの成長を促すことが難しくなってしまったり、下あごを広げすぎてしまったりする
ということが起きてしまうのです。
滑舌が悪い人や、舌が上あごに届かない人は一度歯科医師に診てもらうといいでしょう。
受け口でも見えない矯正はできるのか?
受け口の治療で見えない矯正を選択することはできるのでしょうか。
見えない矯正で選択されるのが「裏側矯正」と「マウスピース矯正」ですが、症例によって
は選択することが可能です。
もし事情によりワイヤー矯正を選択したとしても、セラミックブラケットを選択するとメタ
ルブラケットに比べて目立たなくなるでしょう。
ここでは裏側矯正とマウスピース矯正について、それぞれの費用や期間についても説明しま
す。
裏側矯正
裏側矯正は歯の裏側に装置を装着するため、ワイヤー矯正と違い目立つことなく歯を並べる
ことが可能です。
受け口の人だと後ろに動かすスペースを作るため歯を抜く必要が出てくる可能性があります
が、裏側矯正は抜歯矯正も対応可能なので、問題なく行うことができるでしょう。
ただし、歯の裏側に装置が装着されるので、慣れるまで話しづらい、滑舌が悪くなる、など
の弊害が出てきてしまいます。
人前に出る職業で目立たず矯正治療を受けたい人にはかなり有効な矯正治療といえますが、
接客など話す機会が多い職業の人は慣れるのが大変な治療といえます。
治療期間は2年から3年ぐらいで、ワイヤー矯正よりも技術が必要なため費用は110~180万
円と少し高くなります。
その分ワイヤー矯正よりも目立つことなく矯正治療をすることができるでしょう。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は取り外し可能な透明のマウスピースを装着し歯を並べていきます。
マウスピースを1日20~22時間装着しないといけませんが、マウスピースが透明なので目立
つことはありません。
ただし、前歯のみが反対などの簡単なケースに限られてしまいます。
抜歯が必要などの難しい症例はマウスピース矯正が適応外になる可能性があるので、歯科医
師の診断が必要です。
マウスピース矯正は程度にもよりますが治療期間は半年から3年ほどで、費用は60~120万
円ほどかかります。
他の治療と併用しないといけないケース
受け口の治療の場合、他の治療と併用しないといけないケースがあります。
子供であれば、あごの成長に合わせ「ムーンシールド」や「チンキャップ」などを使用し噛
み合わせを矯正したり顎の成長を促したりしながら受け口を治療します。
大人の矯正になると顎の成長が止まってしまっており、歯を動かすスペースが必要になるた
め、以下の他の治療を併用しなければならないケースもあるといえるでしょう。
● 抜歯
● ワイヤー矯正との併用
● 外科的手術
「歯槽性下顎前突」であれば抜歯が必要であったり、マウスピース矯正であってもワイヤー
矯正との併用が必要になったりすることもあります。
また、「骨格性下顎前突」であれば外科的手術後に矯正治療という流れになることが考えら
れるでしょう。
ご自身の受け口にはどの治療が適切なのかは歯科医師の判断になりますので一度精密検査を
受け相談するようにするといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
受け口の方でも、見えない矯正を選択することは可能です。
ただし、ご自身の受け口が「歯槽性」なのか「骨格性」なのかで選択肢が変わることがある
でしょう。
親からの遺伝の影響が大きいのか、子供のころの癖なのか、ご自身の受け口の原因を把握し
ておくのも1つかもしれません。
軽度の受け口なのか、重度なのかは歯科医師の判断になります。
受け口の方でもご自身に合った見えない矯正治療を提案いたしますので、気になる方は当院
にお越しくださいね。