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ブログ

投稿日:2024.4.15

歯科矯正をすると唾液が出るのはどうして?

みなさん、こんにちは。
仙台キュア矯正歯科です。

歯列矯正を開始するとよだれが出やすくなり、悩みや少しストレスの原因になる方も多い
です。
痛みに加えてよだれも出ると気分が落ちると思いますが、よだれが出ることは決して悪い
ことではなく、むしろ良い事なので安心してください。
しかしなぜ歯列矯正をするとよだれが出やすくなるのか気になりますよね。
よだれの原因と、唾液の働き・メリットについて説明していきますので、理解を深めて矯
正治療のモチベーションを高くしましょう。

歯列矯正をするとよだれが出る原因

普段唾液が出るタイミングは、お口に食べ物を入れたり噛んでいる時や、酸味のあるもの
を想像したり食べたり刺激がある時に唾液腺からジュワーと出てきます。
しかし矯正装置が付いていることによって、口腔内に常に刺激がある状態になるので唾液
の分泌量が多くなります。
そして、矯正治療開始後や調整後は歯が動くため上下の歯が当たるだけで痛みが出やすい
ので、咬み合わさず少し口が開いている状態になり、マウスピース矯正や表側のワイヤー
矯正の場合は矯正装置があるので唇が少し浮いています。
さらに治療が進むと咬み合わせの調整をするので一時的に咬み合わない状態になり、通常
時より唾液の量が多く口が開き気味になることが、よだれが出やすくなる原因です。
きちんと理由があるので問題はないですが、注意すべき点は口腔内の細菌の増殖です。
口が開いていると口腔内が乾燥し、細菌が増殖しやすい環境になります。
唾液の分泌量も少なくなり、唾液の働きが十分に発揮されず健康に影響が出る可能性も考
えられます。
歯並びを綺麗にするために歯列矯正を始めたものの、虫歯ができたり歯周病に罹患してし
まったり、身体を壊してしまうと元も子もないので、口腔内は歯列矯正前よりも意識して
歯磨きを行い常に清潔に保ちましょう。

唾液の働き

唾液が担っている役割は様々ありますが1つ1つがとても重要で、唾液の分泌量が減少する
とその弊害は大きいです。
成人の場合、唾液の量は1日1L~1.5L程度分泌されますが、30代がピークで加齢とともに
減少していきます。
唾液の分泌量や種類は状態によっても変化し、お食事中や唾液腺を刺激したり酸っぱい物
を想像すると多くなりますが、睡眠時や緊張した時は減少傾向にあります。
そして、リラックスしている時は副交感神経が優位になるのでサラサラの唾液が耳下腺か
ら分泌され、口腔内を洗浄して清潔にしたり、食べ物を飲み込みやすくする役割、消化吸
収の補助する役割があります。
反対に運動したり緊張したりイライラしてる時には交感神経が優位になり、ネバネバの唾
液が舌下腺から分泌されます。
ネバネバ唾液は口腔内の保湿や、体内に細菌の侵入を防ぐ大切な役割がありますが、口腔
内を洗浄効果が弱いため細菌が繁殖しやすく、口臭の原因にもなります。

口腔内に限らず全身に良い影響を与えるには、2種類の唾液がバランスよく働くことが重
要です。
普段意識することはないですが、唾液の働きを理解し、唾液の分泌量が減少する行為は気
を付けましょう。

1.自浄作用

お食事をすると食べカスが口腔内に残ってしまい、そのまま放っておくと細菌が繁殖し虫
歯や口臭の原因になります。
それを防ぐためにサラサラ唾液が食べカスを洗い流して清潔にしてくれる働きです。

2.緩衝作用

口腔内は基本的にpH6.8~7.0の中性に保たれていますが、食べ物やジュースなどを摂取し
pH5.5以下になると酸性に傾きます。
酸性に傾いた口腔内を唾液が20分から1時間ほど時間をかけて中性に戻す働きを緩衝作用
と言います。

3.再石灰化作用

口腔内が酸性に傾いた時、歯の表面は溶けてしまいます。
この現象を脱灰と言いますが、溶けた歯の表面を唾液に含まれるカルシウムやリン酸など
のミネラルが修復する働きがあります。
脱灰した層にミネラルが浸透し、元の状態に戻ることを再石灰化と言います。

口腔内では常に脱灰と再石灰化を交互に繰り返し行われており、ダラダラ食べや間食の頻
度が多いと酸性に傾いている時間が長くなるので、再石灰化が間に合わず脱灰が進み虫歯
になってしまいます。

4.抗菌作用

唾液には体内に細菌やウイルスが侵入することを防ぐ働きを持つ抗菌物質(ペルオキシター
ゼ・リゾチーム・ラクトフェリン)が含まれています。
お口は空気を吸ったりお食事をしたり外と繋がっているため、細菌やウイルスの入り口で
もありますが、抗菌作用によって無菌化され身を守ってくれます。

5.消化作用

消化は胃腸の役割のイメージですが、唾液にも消化作用の役割を担っています。
唾液の中にはデンプンを分解する働きがあるβアミラーゼという酵素成分が入っています

この消化作用によって炭水化物が消化されるので、よく噛んで唾液の分泌量を増やすと消
火時の胃や腸の負担を軽減できます。
ただし、タンパク質分解酵素は含まれていないので、タンパク質は分解されません。

6.潤滑・保護作用

口腔内が唾液で潤っているとお食事をスムーズに飲み込め、舌の動きが滑らかになるので
発音がしやすくなります。
またネバネバ唾液は粘膜が食べ物などから傷つかないように、口腔内を保護する役割や保
湿効果もあります。

そして女性は必見!是非知ってほしい知識があります。

さらに耳下腺から分泌されるサラサラ唾液には、若返りホルモンと注目されている成分「
パロチン」が含まれており、アンチエイジングの効果があります。
パロチンは成長ホルモンの一種で、歯や骨の再石灰化を助け、筋肉や内臓・髪などの成長
を促進する働きがあるので、骨粗鬆症が発症しやすい女性にとってはとても嬉しい効果で
す。
壊れた組織を修復する効果もあるので、皮膚炎や白内障、更年期障害の治療薬としても使
用されています。

それだけでなく、加齢とともにお肌のターンオーバーが遅くなりシミやしわ・くすみの原
因になりますが、パロチンには皮膚の新陳代謝を活発にする働きがあるので、ターンオー
バーを促進させ乾燥やニキビ、シミしわの予防に繋がり、美肌力が上がります。
胃や腸の消化を促進させる作用もあり、善玉菌を活性化させ腸内環境が整うので、健康維
持と若さの秘訣になるでしょう。
そんな嬉しい効果しかないパロチンは、よだれが多い赤ちゃんの唾液にはたくさんのパロ
チンが含まれていますが、加齢とともに減少してしまいます。
パロチンを摂取するにはサラサラ唾液の分泌量を増やすことが必要なので、まずはよく噛
んで食べることが重要です。
そしてリラックスしている時に耳の下あたりを指で押して耳下腺に刺激を与えたり、入浴
しながら歯磨きすることもパロチンの分泌を促します。

少し意識は必要ですが自分の身体で作り出せるものなので、是非アンチエイジングに役立
ててください。

唾液が少なくなると起こりやすい症状

唾液の分泌量が減ると、上記の作用が低下するので様々なリスクが生じます。
・虫歯になりやすい
・歯周病になりやすい
・口臭がひどくなる
・乾燥によって粘膜や舌がヒリヒリする
・咀嚼嚥下がしにくい
・喋りにくい
・入れ歯が歯茎に吸着しにくい
・摩擦で擦れて痛みが出る
・口内炎ができやすい
・カビがはえる(カンジダ症)

唾液の働きによって不自由なく当たり前のように過ごせていますが、唾液の量が低下する
とこんなにも影響があります
唾液はお口の健康だけでなく身体の健康にも関わる重要な働きがあるので、唾液が出るこ
とは良いことだと思ってうまく付き合っていきましょう。