投稿日:2024.7.26
起床時顎が痛い、なんてことありませんか?
皆さんは起床した際、「なんか顎痛いかも」と思ったことはありませんか?もしその症状があれば、恐らく寝ている間に歯ぎしりや食いしばりをしていると考えられます。ではどうしてしてしまうのか、今回は食いしばり・歯ぎしりについてお話していきます。
目次
歯ぎしりは大きく分けて3種類!
歯ぎしりには大きく分けると3種類あります。
①歯のこすり合わせ(グラインディング)
一般に歯ぎしりといわれるもので、強い力で上下の歯をこすり合わせる症状です。夜睡眠中に、ギリギリと音が鳴るほど歯ぎしりをしている方も多いでしょう。最も歯にダメージを与える歯ぎしりで、どんどん歯が擦り減っていき、歯の先端が平になっている特徴や酷くなると歯が欠けたり、亀裂が入ったりします。特に歯の先端が平らになっている方や、骨隆起といって歯ぐきや顎の骨に白いコブのようなものがある方はもしかしたら「普段から歯ぎしりや食いしばりをしている方なのかもしれない」と私たちは予想できます。
②歯の噛みしめ(クレンチング)
歯のこすり合わせ(グラインディング)とは違って音はしないですが、気がつくと上下の歯を強く咬み合わせていることがありませんか?これは音のしない歯ぎしりに該当します。食いしばりや咬みしめもこれに当たります。歯を食いしばる際には60kgもの力が加わっています。これだけの力が歯や顎に加わっているとそれだけ影響も大きく出ます。クレンチングをしている人はエラ当たりのほっぺの筋肉に力が入るためかたく膨らんで見えることがあります。
③歯を鳴らす(タッピング)
カチカチとかカチンカチンと、上下の歯を噛み合わせて音を鳴らす動作です。
どうして歯ぎしりするの?
歯ぎしりをしてしまう原因は5つ考えられます。
①ストレス
受験や就職活動、など精神的な疲労が重なると、歯ぎしりが多くなる傾向があります。また、寝ている際に歯を食いしばることで、不安や憂うつな気持ちを無意識に解消しています。もし歯ぎしりしているかもと気づいたら、積極的に気分転換などをしてストレス解消をしましょう。
②習慣
さまざまな習慣も、歯ぎしりの原因となり得ます。たとえばスポーツ選手や力仕事の方は、力を入れるときに瞬間的に歯を食いしばっています。それが睡眠中にも習慣となって現れ、歯ぎしりしてしまうのです。
③飲酒・カフェイン摂取
寝る前にアルコールを摂取すると睡眠の質が下がってしまいます。寝ている間にアルコールが身体から抜けていくのですが、その代わりに睡眠が浅くなるとされています。睡眠が浅いと歯ぎしりを誘発しやすくなります。また、カフェインにも興奮作用があるため寝つきが悪くなります。寝つきの悪さは歯ぎしりの原因となります。就寝前はアルコール、カフェインの摂取を控え上質な睡眠をとるよう心がけましょう。
④喫煙
因果関係は明確ではないのですが、タバコが原因で歯ぎしりが多くなっている説が挙げられます。ニコチンの摂取は歯ぎしりを悪化させるリスクがあると言われています。
⑤噛み合わせが悪い
元々も歯の噛み合わせが良くないと、歯ぎしりが起こりやすくなります。歯列矯正をすることによって改善されることもありますので、歯科医師に相談してみてください。歯ぎしり、食いしばり、歯並びでお悩みでしたら是非一度ご相談にいらしてください。
歯ぎしりが及ぼす悪影響は?
実は歯ぎしりや食いしばりは、頻度や程度に個人差はありますがほとんどの方がしていると言われています。当院の患者様でも、普段から歯ぎしりや食いしばりをしてらっしゃる方も多く、マウスピースが定期的に穴があいたり、ヒビが入ったり、かみ合わせをあげるために奥歯に付けるレジンも歯ぎしりで外れてしまったり削れて低くなっってしまったりと、矯正中にも治療を妨げてしまう弊害があります。程度が大きくなると、下記の事態が考えられます。
・被せ物や詰め物が取れてしまう、壊れる
・歯の根っこが割れてしまう
・歯周病が悪化してしまう
・顎関節症になってしまう
・骨隆起ができてしまう
顎の関節に力が伝わり顎関節症や顔面痛だけでなく、筋の緊張による頭痛・肩こりなど身体に様々な症状が起こる可能性もあります。さらには、冷たいものがしみる知覚過敏や歯周病を悪化させる要因とも考えられています。特に、顎関節症は歯ぎしりによるものが多く、朝起きたとき顎が痛かったり、咀嚼をすると顎が痛い、スムーズに口が開かない、口を開けようとするとカクカクと音がするなどの症状があります。
歯ぎしりチェック!✓
歯ぎしりは睡眠中眠りが浅いときに無意識に行っているものなので、自分では気づかないことが多いです。家族や友人に歯ぎしりを指摘されることで自分の歯ぎしりに気づける方もいらっしゃると思います。私もそのうちの一人で、自分では気づけませんでしたが、友人に歯ぎしりを指摘され、また骨隆起もあるため気づくことができました。家族や友人などに指摘された方は間違いないと思いますが、それ以外にも、以下の項目に当てはまる方は歯ぎしりをしている疑いがあります。皆さん、確認してみましょう。
- 朝起きたとき奥歯が痛い
- 朝起きたとき顎が痛い・疲れている
- 慢性的な頭痛・肩こりがある
- 歯が欠けたり割れたりしたことがある
- 歯の先端がすり減って平らになっている
- 頬のしたものがある内側に噛んだ跡がある
- 集中しているとき、無意識に歯を食いしばっている
- 歯ぐきや顎の骨に白いぽこぽこしたものがある
歯ぎしり対策
ナイトガード
現在一般的に行われているのは、ナイトガードを装着する方法です。ナイトガードとは、睡眠時に着用するマウスピースで、歯ぎしりをしても上下の歯が直接当たらないようにすることができます。ナイトガードを装着して眠れば、歯の摩耗(すり減る)や欠損(欠ける)を防げます。またナイトガードの形状を工夫することで、歯ぎしりの回数を減らすこともできる場合があります。もちろん歯ぎしりの際に出るあの音もしなくなります。ナイトガードは、保険適用の治療法です。治療にかかる費用も数千円から1万円ほどで行えます。それほど経済的な負担がかからずに改善できる方法なので、歯ぎしりに悩んでいる方は検討してみてください。
質の良い睡眠
自分で歯ぎしりの症状を改善する第一歩は、質の良い睡眠がとれる環境づくりです。寝る姿勢は横向き、うつ伏せなどで長時間同じ姿勢で寝ないようにしましょう。枕は高くせず、寝返りが打ちやすい姿勢で眠るようにしましょう。
ストレスを無くす
歯ぎしりの最大の原因はストレスによるものです。ですから、ストレス解消は歯ぎしりを治すのに非常に有効な方法といえます。
噛み合わせを改善する
かみ合わせは年齢や虫歯、歯周病の進行具合などによって一生同じということはなく、一定しているものではありません。ですから、前は歯ぎしりをしていなくても、何らかのきっかけでかみ合わせが変わって、歯ぎしりが起こっていることもあります。もしそうであれば、歯科医院でかみ合わせを調整してもらうことで、治る場合もあります。気になる方は一度歯科医院で診てもらったほうが良いかもしれません。
まとめ
歯ぎしりが及ぼす影響は口や顎だけにとどま直しらず、頭痛や肩こりの原因となり、さらには腕のしびれ、腰痛、倦怠感などを引き起こすことがあります。加えて睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘されており、心筋梗塞を引き起こす遠因ともなります。歯ぎしりがまさか全身にまで影響するとは驚きですよね。睡眠中など、歯ぎしりは無意識に行われているからこそ、意識的に改善できるところは普段から直していかなければなりません。まずはストレスをなるべくためないように発散・解消して、質の良い睡眠がとれるように心掛けていきましょう。