投稿日:2024.12.16
矯正治療中のMRI撮影はできる?
「矯正中、矯正治療中のMRI撮影はできる?」
このようなご質問は、人間ドッグ前や何かしらの疾病が発覚してこれから検査になる前な
どにいただくことが多いです。
何か、お体にお病気などが見つかる前に、健康な状態の時には思いもつかなかった!とい
う方がほとんどですが、MRIの撮影が矯正治療中でも可能かどうかについて、MRIのこと
についても詳しく解説していきたいと思います。こちらのブログを最後までお読みいただ
くことで、MRIを撮影する際のことや矯正治療を行っている時に使用している材料につい
ても知ることができますので、どうぞ最後までお読みいただけますと幸いです。
目次
MRIを撮影する時って?
MRIと聞かれると、え?何かあったの?検査するの?くらいの認識だと思います。
MRIとは、いわゆる画像診断になりますが、レントゲンやCTとは少し勝手が違います。
どう違うのか?と言いますと、MRIとは、磁気共鳴画像検査と言って、強力な磁力を使用
して体の内部を撮影する方法になります。ですので、レントゲンのように放射線を使用し
ないので被曝をすることはありませんが、強力な磁気を使用して体の内部をいろんな角度
から断面図用にして撮影することができるのです。
MRIを使用する場合には、CTやレントゲン、エコー検査などをしても明瞭に画像を把握で
きなかった場合に、もう少しよく見たい。もっと細かく詳細に検査をしたい場合に行うこ
とがほとんどです。
腫瘍が形成されているであろう部位が不明瞭だった場合に、あるいは脳内や腹腔内での血
管内での出血部位を突き止める場合にMRIの撮影をすることが多いようです。
MRIはどこを撮影できるの?
MRIでは、主に全身が撮影可能だと言われています。
頭頸部(頭や首)
心臓
胸部
腹部
骨盤内の臓器
全身の関節
これらを撮影することが可能だといわれています。
病院によりけりで検査の結果が出るのに時間のかかり方が違うと言われています。撮影し
た当日に出る場合もあれば、10日ほど後にわかる場合もあるそうです。
歯科治療とMRIの関係は?
まず、歯科治療とMRIの関係についてご説明いたします。
歯科治療でも、MRIを撮影することがあります。
MRI撮影は、顎の成長や発達を評価するため、または矯正治療に関連する潜在的な問題を
特定するためにも推奨されることがあります。この撮影が矯正治療計画に与える影響は大
きい物があります。撮影結果に基づいて治療方法を調整する必要が生じる場合もあります
し、MRIで顎関節の問題が発見された場合には、矯正治療の進め方について再考しなけれ
ばならないこともあるかもしれません。
そして、最も気になることは歯科で使用されている金属がMRIの撮影ができるのか?につ
いてです。残念ながら、入れ歯はMRIの撮影時には取り外さなければなりません。
そして、そのほかにも金属の入っている治療を列挙してみます。
・歯の詰め物(銀歯)
こちらは、MRIでは問題のない金属が使用されていることがほとんどですので、問題がな
いと言えるでしょう。
・インプラント
インプラントのチタン材料でできているので問題がないと言われています。
・矯正装置
ワイヤー矯正(表側矯正・裏側矯正)いずれも金属を使用しているこちらの治療では、ワ
イヤーやブラケットにMRIの時期に反応してしまう金属が入っていることが多いようです
。
MRIの撮影が行われる場合に、一度医科の主治医にしっかりと矯正治療中だということを
報告してから矯正歯科へご相談にお越しいただくことが最善だと言えます。
MRI小話
筆者が出入りしていた大学病院にもMRIの設備があり、実習でMRIの大きな装置のある部
屋へと立ち入ることを許可され、近くに寄らせていただいたことがありました。
メインの電源装置がいわゆる待機状態になっている装置の近くに行っても良いというお達
しが出て、近づきました。
ですが、その部屋に入る前に金属類は全て取り外してから装置に近づくようにと言われて
おり、恐る恐る近くに行きました。
ヘアピン、ボールペン、名札など、ありとあらゆる金属を外して近づきます。
その後、実習担当の先生がヘアピンなどを持ってきていただき、装置に近づけると磁石で
引っ張られる状態になりました。
これを、装置の電源を完全にONにするともう二度と離れることはないと言います。
以前全く違うところで、こんな事故報告がありましたという例を聞きましたが、想像を絶
するものでした。
車椅子をMRIの近くまで持っていき、移乗した後に回収し忘れて、MRI装置の電源をONに
したところ、車椅子がその磁力に負けて車体ごと引き込まれたというのです。聞くだけで
もゾッとするとんでもない大事故です。車椅子は使用している金属が多いので、磁力に大
きく反応したとのことでした。
MRIは磁力を使用して体の内部を撮影する機械なので、金属は容易には近づけてはいけな
いのです。
矯正装置とMRI撮影
MRI(磁気共鳴画像検査)は、強力な磁場と無線波を使用して体内の詳細な画像を生成し
ます。この撮影中、金属製の矯正装置はいくつかの問題を引き起こす可能性があります。
特に、磁場に反応する金属は画像の歪みを生じさせることがあり、診断の精度に影響を及
ぼします。さらに、MRIの磁場によって金属が加熱される可能性もあり、これは患者様に
不快感ややけどを与えるリスクがあります。
矯正装置の材質は、金属、セラミック、プラスチックなど様々です。
金属製の矯正装置はMRI撮影に影響を及ぼす可能性が高いですが、プラスチックの材料で
作られた矯正装置やリテーナーはMRIとの互換性があり、撮影による問題のリスクが低い
です。セラミックやプラスチック製の矯正装置は、MRI撮影中の画像の歪みや患者様への
リスクを最小限に抑えるための選択肢として推奨されることがあります。
矯正治療中にMRI撮影が必要な場合は、使用している矯正装置の材質を事前に医師に報告
し、適切な対策をすることが重要です。必要に応じて、撮影前に取り外し可能な装置を外
すか、または特定の部位の撮影を避けるなどの対応が考慮されます。このようにして、患
者様が安全にMRI撮影を受けるための準備と対応が可能となります。
矯正治療中にMRIは撮れるの?
矯正治療中にMRIを撮影できるか、については
マウスピース矯正中で、お口の中に金属を使用している装置を使用していなければ可能で
す。
ワイヤー矯正治療中(表側矯正・裏側矯正)は、必ず医師に報告、かかりつけの歯科医師
に相談するようにお願いいたします。
歯科医院で行うMRIを撮影する事前の安全対策
事前準備
撮影前には、使用している矯正装置の材質について医師に正確な情報を提供します。非磁
性の材料でできている矯正装置であれば、MRI撮影によるリスクは大幅に減少します。
撮影部位の選択
可能であれば、矯正装置の位置とは異なる部位のMRI撮影を選択します。これにより、画
像の歪みを避けることができます。
代替診断法の検討
MRIが絶対に必要でない場合は、CTスキャンやX線など、他の診断法を検討します。
専門家との相談
矯正装置を持つ患者様がMRI撮影を受ける場合、矯正歯科医師やMRI技師と密接に連携し
、撮影の安全性について相談します。
取り外し可能な装置の利用
可能であれば、MRI撮影の際には取り外し可能な矯正装置を選択します。これにより、撮
影時のリスクを最小限に抑えることができます。
このように、撮影が事前にわかっている時にはお口の中の情報の共有を医師と歯科医師が
行うことが可能です。それに、MRIの撮影に影響のない装置を準備することも可能な場合
が多いですので、事前に分かりましたら遠慮なくご相談ください。
まとめ
MRIの撮影が入った!と慌ててしまいそうな気持ちも十分に理解ができますので、どうか
お早めにかかりつけの矯正歯科医院へご相談くださいませ。
当院でも、MRIの撮影があるので、とご相談されることは少なからずございます。
その際は、遠慮なくお早めにご相談いただくことで、スムーズに対応策を取ることが可能
です。快適な矯正治療の日常が送れるお手伝いをさせていただきます。