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ブログ

投稿日:2023.6.9

上顎前突(出っ歯)を治したい方へ

今日のブログは【上顎前突(出っ歯)を治したい方へ】をテーマにお話ししていきたいと思います。
「出っ歯」は、歯科での正式名称として「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれます。
当院にカウンセリングにいらっしゃる方でも、「出っ歯を治したい」「Eラインを整えたい」とおっしゃられる方はとても多いです。
上顎前突というと難しく感じるかもしれませんが、今回はわかりやすく出っ歯の原因やデメリット、治療方法を紹介していきます。

どこからが出っ歯になる?

出っ歯とは、上の前歯が通常よりも前に出ている状態を指し、一般的に4mm以上前に出ている場合は出っ歯の傾向があると言われています。
出っ歯の程度には軽度と重度があり、治療法も異なります。
軽度の出っ歯は4~6mm程度で、奥歯の噛み合わせに問題がない場合。重度の出っ歯は骨格が原因で起こる場合があり、6mm以上になることもあります。
出っ歯かどうかを確認するには、次のような方法があります。
・割り箸を鼻の先端と顎に当て、鼻先・上唇・下唇・顎が一直線に結べるラインにあっているか確認する
・横顔を撮影するか身近な方に見てもらう

出っ歯、歯

出っ歯(上顎前突)の原因

出っ歯の原因には、先天的なものと後天的なものがあります。(遺伝や癖、生活習慣)などがあります。
後天的なものであれば、ご自身で意識をして生活習慣を改善していけば、出っ歯(上顎前突)も良くなる可能性はありますが、
先天的なものであれば矯正治療を行えば出っ歯(上顎前突)を治すことができます。

先天的(生まれつき)な出っ歯

上顎が大きすぎる、下顎が小さすぎるなど「生まれつきの骨格」が原因で出っ歯になることがあります。
父親や母親が上顎前突(出っ歯)の場合、子どもにも遺伝するケースが高い。
逆に、「遺伝」が原因とされているのは、出っ歯の原因の約3〜4割と言われています。6〜7割は、後天的ないわゆる「習慣」が出っ歯の原因となっているのです。

後天的(癖や生活習慣)な出っ歯

後天的な出っ歯は、幼い頃の癖や生活習慣によるものです。ですからほとんどの場合が無意識に行っているため、ご自身で癖に気づいて意識して治していくことがまずは大切です。
例を挙げると、幼い頃の指しゃぶりやおしゃぶり、前歯を舌で押す、口呼吸などがあります。2歳くらいまでの指しゃぶりは生理的なものですがそれ以降は骨の発達や歯の生え方に影響しますのでやめるようにしましょう。また舌癖といって常に舌を前歯の裏に押し付けていると歯が前に出てしまいます。正しい舌の位置は、スポットと言われる上の前歯の少し後ろの上顎です。普段から意識してみましょう。また歯は、口唇圧と舌圧のバランスが良い位置に存在しています。唇からの圧が強ければ歯は内側へ、舌からの圧が強ければ外側へ動く力がかかります。口呼吸をしている時は口が開いているので、口唇圧がほとんどかからないので歯が外側に動いてしまいます。

①幼い頃から指しゃぶりをしている
②舌で前歯を押す癖がある
③唇を噛む癖がある
④爪噛みをしている
⑤口呼吸をしている

スポットとは??

皆さん、【スポット】って聞いたことありますか。舌の正しい位置になります。当院でも装置をつけたら必ず指導しています。
上顎の前歯の付け根から喉の奥の方にあるわずかにへこんだ部分で、舌先が触れる位置です。
舌がスポットに収まっている状態を「スポットポジション」といいます。
なぜ舌が正しい位置にないといけないのか?と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
また、スポットポジションが正しい位置である理由が気になる方もいるかと思います。正しい位置である理由は以下のようなことが挙げられます。

①歯列や呼吸機能の健康を維持しやすい
②顔のゆがみやたるみ、二重あごの原因になりにくい
③口呼吸になりにくく、乾燥による口臭や歯周病・虫歯の原因になりにくい
④噛み合わせが悪くなったり、反対咬合(受け口)になったりしにくい

スポットポジションに舌を収めることができない場合は、舌の筋力が低下している可能性があります。
舌の筋力を鍛えることで、スポットポジションをキープできるようになります。これはできるだけ幼い頃から意識、トレーニング
して頂きたいところですが、大人になってからの意識、トレーニングでも十分遅くありませんので舌が正しい位置にない方はご相談ください。

舌、スポット舌、スポット

出っ歯のデメリット

出っ歯は特徴的な歯並びなので、見た目が気になる方も多いですが、機能的なデメリットもたくさんあります。

虫歯や歯周病のリスクが高まる

出っ歯になると、口が閉じにくく、お口の中が乾燥しやすくなります。日中意識的に唇を閉じていることは出来ますが、就寝中無意識では唇が開いてしまいます。
唾液には細菌が増殖することを抑える働きがありますが、お口の中が乾燥するとむし歯や歯周病菌のリスクが高まります。

②怪我のリスク

出っ歯だと出っ歯ではない人に比べ前歯をケガするリスクが高くなります。転倒による前歯の破折は、正常な方と比べおよそ50%左折のリスクが高いと言われています。
永久歯で強くぶつけた場合、歯の神経が死んでしまって、歯の色が灰色ぽくなったり、軽症ですと修復可能ですが最悪の場合歯を抜いてインプラントにしないといけないこともあります。

口呼吸になりやすい

出っ歯は口が閉じにくいので、口が開きやすくなり口で呼吸しやすくなります。口呼吸だとお口の中は常に乾燥状態が続きます。
通常は鼻呼吸が正しいのですが、口呼吸になると、細菌が鼻毛などのフィルターを通らず、そのまま口の中に入ってしまうので、
風邪やインフルエンザなどの感染症になりやすくなってしまいます。

発音が悪くなる

お口が閉じられず舌の位置も異常があるため滑舌が悪くなります。矯正して舌の位置もただすことで発音の回復にもなります。

④顎関節症のリスクが高くなる

出っ歯は前歯が噛み合わないことが多く、奥歯に負担がかかりやすくなってしまいます。歯には1本1本役割があるため、前歯の負担がほかの歯にかかってしまい、
かみ合わせのバランスが崩れてしまいます。そうすると、強く当たっている部分に負担がかかり、顎の関節にも影響が出て、顎関節症のリスクが高まります。

⑤見た目へのコンプレックス

前歯が出ていると前から見ても横からみても歯が出ているのが目立ちます。また、前歯に食べ物や飲み物の色素成分が歯の表面についたままになった状態が歯の着色汚れです。
前歯にステイン(着色)が付いていると見た目が気になりますよね。出っ歯だと普通の人に比べ余計着色しやすくなります。

出っ歯の治療法

出っ歯の治療法にはマウスピース矯正やワイヤー矯正、セラミック矯正など様々な治療方法があります。
基本的には抜歯(歯を抜くこと)になる事が多いです。

①マウスピース矯正

マウスピース矯正では、治療できる出っ歯と治療できない出っ歯があります。
骨格に問題がない場合や前歯の重なりが少ない場合、前方への突出が軽度な出っ歯の場合は、マウスピース矯正で治療が可能です。
出っ歯には、歯だけではなく骨格ごと前に突き出ている「骨格が原因の出っ歯」があります。骨格が原因で出っ歯になっている場合、マウスピース矯正だけでは治療が困難です。
外科手術が必要になるでしょう。前歯の突出が重度な場合は、マウスピース矯正だけでは治療が困難です。マウスピース矯正での治療が困難なときは、ワイヤー矯正などを検討する場合があります。ワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用したり、ワイヤー矯正のみで治療したりする場合があります。マウスピース矯正で出っ歯を治す際は、抜歯を行う場合と行わない場合があります。前歯を後方に動かすためのスペースがあるかどうかで、抜歯の必要性が変わります。そのため、矯正を始める前に上の奥歯を後方に移動できるかを確認が必要です。スペースがある場合はそのままマウスピース矯正を行いますが、スペースがない場合は抜歯してスペースを確保します。抜歯せずに、歯と歯の間を削って(IPR)スペースを確保することもあります。
マウスピース矯正の特徴は、患者さまのお口に合った、透明のマウスピースを段階的に交換して、歯並びを動かす方法です。取り外しができるので、食事や歯磨きを今まで通り行うことができます。また、1週間から10日程度で交換するため、ワイヤー矯正に比べて痛みや違和感が少ないといわれています。デメリットとしては、マウスピースは着色しやすいため、マウスピースをつけたまま飲めるのはお水だけになってしまいます。特にコーヒーやお茶、ワイン、コーラなど色の濃い飲み物はすぐに変色してしまいます。また、マウスピースを着けたまま砂糖の入った飲み物を飲んでしまうと、マウスピースの中で糖分がとどまってしまい、むし歯になりやすくなってしまいます。また、1日20時間以上着用する必要があり、お手入れやマウスピースの交換等ご自身で管理しなければなりません。ワイヤー矯正は患者様自身は何もしなくても歯が動きますが、マウスピース矯正はご自身でしっかり管理していかなければならないため、矯正治療の進み具合は患者様自身にかかっています。

②セラミック矯正

セラミック矯正は歯を動かす必要がないため、矯正装置は不要です。セラミック矯正は、歯に被せて見た目を治す方法です。被せ物を入れるまで仮歯を装着して過ごします。
仮歯は本物の歯に近い形をしており、周囲の人に治療中だと気づかれることはありません。また、セラミック矯正は2~3ヶ月で治療が完了します。神経を取り除く処置がある場合は複数回の通院が必要になりますが、歯科矯正よりも短期間で出っ歯を治せます。しかしデメリットもたくさんあります。セラミッククラウンを被せるためには、健康な歯を削る必要があります。
また、歯の傾きを大きく変える必要がある場合は、神経を取り除いて土台を立てる処置が必要になることもあります。一度削った歯や取り除いた神経は元に戻ることはないため、削れば削るほど寿命が短くなります。いくら精巧なセラミックの被せ物を入れても、自分の歯と被せ物の境目には段差ができます。この段差には、歯垢や食べかすなどの汚れが蓄積しやすいです。
その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。また、部分的に治すことにより見た目はきれいになってもかみ合わせが悪くなるリスクが高まります。

③ワイヤー矯正

歯の表面に装置をつけてワイヤーで治していく方法です。時間やお金はかかりますが確実にきれいに治していくのがワイヤー矯正です。
出っ歯の程度にもよりますが基本的には抜歯が必要になってきます。歯のスペースを利用して前歯を下げていきます。裏側、表側基本的にはどちらでも下げることは可能です。
まずは細いワイヤーで歯のガタガタを治し、次に歯の軸を治していきます。装置の種類により前歯を下げていく方法は異なりますが、その次にいよいよ前歯を下げていきます。
前歯を下げ終わり残ったスペースがあれば後ろの歯を手前に持ってきてスペースを完全に閉じていくようになります。時間はかかりますが見た目も機能面もワイヤー矯正で出っ歯を治すのが
一番いいでしょう。

矯正、歯

 

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