投稿日:2024.4.8
妊娠中でも体に負担の少ない歯科矯正とは?
矯正治療中に妊娠がわかることはよくあります。
このまま矯正治療を続けていても問題はないのか、赤ちゃんに影響は出ないのか、特に女性
の患者さんは気になるところですよね。
妊娠中の方もこれから赤ちゃんを考えている方も、安心して矯正治療ができるように妊娠中
でも体に負担の少ない矯正治療についてお話していきます。
矯正治療期間中に気をつけることなどもありますので、内容をしっかり理解しておけば不安
になる必要はありません。
ぜひ、本記事を参考にしていただき今後の矯正治療に役立てて下さいね。
目次
<妊娠中に負担の少ない矯正治療はある?>
妊娠中は吐き気やつわり、胃の不快感など普段にはなかった体調の変化を感じることが多く
なります。
「これから矯正を始めたいけど、治療期間の長い矯正ではその間に妊娠の可能性もあるかな
。」
そんな方でも矯正治療自体はいつでもスタートすることはできます。
妊娠のことも考えるとできるだけ負担の少ない矯正治療にしたいですよね。
そのような方にはマウスピースを使ったマウスピース矯正治療がおすすめです。
妊娠してつわりが出てきたり、気持ち悪いときにはご自身で取り外すことができるというメ
リットがあります。
その他にも、表側矯正や裏側矯正、ハーフリンガル矯正などもありますがブラケット装置を
使った矯正は、自分で矯正装置の取り外しはできません。
なので、つわり時には違和感が強く出てしまうこともあります。
しかし、ブラケットの必要な矯正もマウスピース矯正もつわりが落ち着いた時期にずらすな
どして、矯正を始める時期を調整することで、妊娠時の負担を軽減して治療ができます。
どのタイミングで始めるのがよいか、すでに矯正治療を始めている方でもできるだけ負担を
減らしたご提案や通院方法などのお話もできますのでご相談下さい。
<矯正歯科治療の途中で妊娠がわかったらどうしたらいいの?>
矯正のための歯科治療は年単位でかかることも多いです。
なので、すでに矯正治療がスタートしている方で、途中で妊娠したことがわかる方もたくさ
んいらっしゃるので安心して下さい。
矯正治療途中で妊娠していることがわかったら、まず担当の歯科医師や歯科衛生士にお話し
て下さい。
「安定期に入るまでは、お話しするのは控えておこうかな。」という方もいらっしゃいます
が、検査やお薬などが必要になりますので、できるだけ速やかに報告していただけると、お
身体の状態を把握して治療中にも配慮ができるようになります。
<妊娠中の検査やお薬はどうなるの?>
1.検査ーレントゲン撮影
矯正治療を始める前には、必ずレントゲンの撮影が必要になります。
直接お腹を撮影するわけではありませんし、歯科で使われているレントゲンの被ばく量はご
くわずかなので、お母さんの体にも、もちろんお腹の赤ちゃんにも影響を与えるレベルでは
ありません。
防護エプロンといって、撮影の際は体を被ばくから守って撮影をしますのでレントゲンの撮
影に対して不安がることはありません。
実際には大学病院では、歯科で使用するレントゲン撮影の被ばく量は、体に悪影響を与える
ほどの害はないということで、防護エプロン自体を使っていないところもあるくらいなんで
す。
2.検査ー歯の型取り
現状どのような歯並びをしているのかを把握するために、歯の型取りが必要になるケースが
あります。
型取りをするときには、お口の中に大きな型取り用のお皿と粘土のような材料が入りますの
で、妊娠をしていない一般の方でも不快に感じやすいです。
特に妊娠をしていて、つわりやお口にものを入れることに敏感になっている方では特に吐き
気がきてしまうでしょう。
クリニックによっては口腔内スキャナーを使って撮影をすることもありますが、これも機械
が大きく時間もかかる場合があります。
すでにお口の状態の把握や型取りが終わっている方はいいのですが、これから検査が必要だ
ったりお口の型取りもする予定の方は、できるだけ体に負担のないやり方を提案してくれる
と思いますので、担当の先生や歯科衛生士に相談して下さいね。
3.麻酔の使用
矯正治療をするときに麻酔を使う場合は限られていて、歯を整えるためのスペースをつくる
ために抜歯が必要なケースとアンカースクリューといってネジを顎の骨に固定するときにな
ります。
どちらのケースでも麻酔を使いますが、通常の量であればお母さんにもお腹の赤ちゃんにも
影響はないといわれています。
4.お薬の服用
矯正治療期間に必要になるお薬で多いのが「消炎鎮痛剤」と「抗生剤」です。
「消炎鎮痛剤」は痛み止めとして使われる薬で、歯を抜いて痛みがあるときや歯を動かす装
置をつけて痛みがあるときに服用します。
妊娠中の方でも安全性をもって使えるお薬があります。
「抗生剤」は化膿止めとして使われるお薬で、歯を抜いたときに服用します。
こちらも妊娠中の方でも安心して使えるお薬があります。
それでも麻酔やお薬に対して抵抗がある場合には、安定期に入ってから必要な治療を開始す
るなど時期をずらすことで、精神的にも安心して取り組むことができるようになるでしょう
。
「不安だな・・・。」「大丈夫かな?」と心配な方は遠慮なく、歯科医師や歯科衛生士にご
相談下さい。
できるだけ体に負担をかけないで進められるよう提案してくれるはずです。
<妊娠中の矯正治療で気をつけることはある?>
妊娠中はホルモンバランスが変わりますので、妊娠時特有の体の変化が起きます。
この変化は矯正治療が始まっている方にも影響してきますので、どのようなところに注意し
ておけばいいのか対処法をご紹介します。
1.つわりで歯磨きができない
妊娠したことでよく聞くのがつわりで気持ち悪いという体の変化です。
胃の気持ち悪さや吐き気、匂いに敏感に反応してしまうということが起きやすくなります。
特に口にものを入れると吐き気が起きやすいです。
なので、妊娠中は歯磨きがおっくうになってしまったりストレスを感じる方も多いでしょう
。
すでに矯正装置が入っている方では、歯磨き不足によってむし歯ができてしまったり歯ぐき
が腫れるなど、出血してくることもあります。
このような時には、無理ぜずに食事後すぐにお水やマウスウォッシュでお口をゆすぎましょ
う。
もちろんお口の中の汚れをとって、綺麗に保っておくためには歯ブラシがベストなので、で
きる方は歯磨きをしてもらいます。
歯ブラシのヘッドを小さいものに変えてもらうと、お口に入った時の違和感が減るのでおす
すめですよ。
2.妊娠性の歯肉炎になりやすい
妊娠中は「妊娠性歯肉炎」といって、体のホルモンバランスの変化によって歯茎の炎症が起
こりやすくなります。
歯周病へと進行してしまうと、早産や低体重での出産へのリスクも高まってしまいます。
体調の変化で歯磨きができない時には、お口をゆすぐ回数を増やしたり気分のよいときに軽
く歯磨きをするだけなどでも大丈夫です。
ご自身の日頃の体調に合わせて、ストレスなくできる範囲でカバーしてあげましょう。
3.治療中の体勢に気を付ける
お腹が大きくなってきている妊娠後期に気を付けることが「仰臥位低血圧症候群」(ぎょう
がいていけつあつしょうこうぐん)です。
診療台で仰向けになっている状態が続くと、お腹の赤ちゃんが大動脈の血管を圧迫してしま
って、心臓に戻ってくる血液量が減ってしまうことがあります。
このような状態になると、気分がすぐれなくなったり冷や汗や脈拍の増加、失神などが起こ
るリスクがあります。
治療中でも体調になんらかの変化を感じた場合は、遠慮せず歯科医師に伝えて下さいね。
4.通院が難しくなってしまう
妊娠中のつわりや気分のすぐれなさで、通院するのが難しくなってしまうこともあるでしょ
う。
そのようなときは治療を一時的に中断したり、予定を変更したりなどして対応ができます。
体調がよいときに来院するのでもいいですが、つわりがひどく辛い期間が続いてるときに無
理する必要はありません。
その際は、自己判断で治療を中断するのではなく、担当医師に相談して今後どのようにして
いくかお話しを聞いてみましょう。